2026年5月3日

20260503ユーモア理論日記

書籍を書く依頼があり,ユーモア理論について改めて考えている.

主要な概念を説明しうる以下の論文を読み直し中.

McGraw, A. P., & Warren, C. (2010). Benign violations: Making immoral behavior funny. Psychological Science, 21(8), 1141–1149.

この論者のポイントは,benign violationの認知判断(appraisal)が重要だということ.Nerhardtのおもりの実験のような単純な予期からのズレとか,二つの(異なるドメインの)言葉が音韻的類似性で関連づけられて並置されること(pun)のような要素があるだけではなく,それと同時にbenignであるという評価がbenign violationこそがユーモアの条件であるとする.


なお,この論文の最後の方に,理論をどこまで拡張できるかの議論の中で

Slapstick is less funny if it seems too real or if the viewer feels empathy for the victim.(p.1147)

という記述があった.ドタバタ喜劇の棒が柔らかいことやハリセンが無駄に大きく,リアルではない様子を示すところに,観客を心配にさせずにbenign violationを成立させる工夫があるのかなとも考えた.


関連して,音韻に基づく駄洒落は面白くないと評価されることが多いけど,この理論に基けば,(論文に書いているわけではないが)もっと社会的規範や倫理規範の違反をするもの(かつ,この表現形式であれば許容されるもの)であれば,おもしろさが増すのかなとも考えた.





Superposed Recurrence Plotの紹介

映像や舞台表現の訴求力を数値化する夢の技術とは!? 共通入力のダイナミクスを複数の観客の振る舞いに残された痕跡から復元する この文章についての問い合わせは こちら↗︎ ■理論的背景  私たちが実験や観察で得られるのは,高々1変数の時系列データであることが多い.だが,力学系から出力...