2021年9月26日

20210926落語鑑賞日記

本学では,先週末から秋学期が始まりました.

春学期に比べて,授業数が少ないので,いくぶん楽になりそうです.


秋学期のオンライン授業で使うMoodleの設定をしながら,落語を聞いていました.

柳家喬太郎師の,健保落語.スポンサーの伝えたいメッセージがある落語のようです.

本編に加えてメイキング+インタビューの映像もありました.


若い世代の落語の捉え方について,述べた言葉が印象に残りました.

喬太郎さんの若い頃は,世相として浮かれていた時代でもあり,落語と聞くと「うわっ!だせぇ」と若者が口にしたそうです.

一方現在は,「落語?なにそれ,おもしろいの?」に変化したとのこと.これはつまり,ダサいとかどうかとかそういうことさえ判断しないくらい,落語を知らないということを意味しています.

だから逆説的に,なんの先入観もなしに表現そのものを体験できるということを喬太郎さんは述べていました.

これはたしかに,と納得できる話です.時代が変わったことを強く感じました.

これから落語はまた発展しそうです.生身の人間が一人で表現できる最大のものを現出させるという意味で落語は身体表現の原点だと改めて思いました.


2021年9月7日

20210907論文読み日記

 2021年8月19日付で,Nature Communicationsに下記の論文が掲載されました.

Moritz, S., Gottschick, C., Horn, J., Popp, M., Langer, S., Klee, B., ... & Mikolajczyk, R. (2021). The risk of indoor sports and culture events for the transmission of COVID-19. Nature Communications, 12(1), 1-9.

この論文は,2020年8月に実験的に行われたポップスの着席コンサートのデータを基にしています.

この実験では,首にかけるセンサーにより参加者間の接触情報(コンタクトデータ)を次の3つの条件で取得しています.

一つ目の条件は,衛生対策を取らなかった場合.二つ目の条件は,参加者の座席の前後左右を空席にして,入り口を2倍に増やした場合,三つ目の条件は,実験参加者(観客)の座席の間隔を1.5mとして入り口を4倍に増やした場合.

屋内でのエアロゾルの移動について,空気交換率をパラメータとして持つ数理モデルを構築し,上記の条件により感染パターンがどのように異なるかをシミュレーションしています.


結果を簡単に要約すると,空気交換率が高く,かつ,1.5mの間隔を取る最も厳しい条件では,感染のリスクが日常生活でのリスクと変わりないくらい低くなりました.

著者らは,これらの条件が満たされれば,屋内の着席コンサートが広域の感染に寄与するリスクは十分低いと考察しています.なお,席の移動を伴うライブ等については,あてはまらない場合があることに注意すべきだということも述べています.


変異株の影響もあり,これを今日にそのまま一般化することはできないかもしれません.しかし,データを取った検証が,どのような行動なら十分リスクを下げられるかについて根拠を与えるのだという意味で,勇気を与えてくれる研究だと感じました.


同日開催!2024年5月27日(月) 早稲田大学落語入門 & 第五回実験寄席【実験参加で入場無料!】

落語を鑑賞しているときに,人間はどのような反応をしているのか? その解明のために,生理指標や表情を計測しながら落語を鑑賞する実験を行います。参加者には通常通り落語を楽しんでいただきます。 (1)研究内容と実験方法の説明を受け,計測機器を装着します(15分) (2)2名の噺家による...