先日も少し言及した,下記の論文が2022年9月12日に無事掲載されました.
Nomura, R., Fujiwara, K., & Ikeguchi, T. (2022). Superposed recurrence plots for reconstructing a common input applied to neurons. Physical Review E, 106:034205.
URL: https://link.aps.org/doi/10.1103/PhysRevE.106.034205
DOI: 10.1103/PhysRevE.106.034205
観察者にとって未知の共通入力を,互いに独立した神経細胞(ニューロン)群に印加し,その出力の情報のみを用いて,共通入力の振幅を再構成するというものです.
Izhikevichニューロンモデルのパラメータを変えることで実現したChattering,Regular Spiking,Fast Spikingニューロンを用いて検討したところ,いずれも誤差が10%未満の比較的高い精度で共通入力を再構成できることを確認できました.
また,カオス応答を示すニューロンを用いた場合にも,再構成の精度は低下するものの,ピークの位置は正確に再構成が可能であることを示しました.
この研究の意義については,こちらの英文記事でわかりやすく紹介されています.ぜひご覧ください.
2018年ごろに開始し,基礎的な内容の積み重ねでここまで到達することができました.それが物理学の有力誌に掲載されたのは,本当に嬉しく思います.
また,この再構成手法は,システムの詳細ではなく出力の情報のみを用いているため,さまざまな非線形システムに適用できると考えられます.
噺家の熟達化の研究にもどんどん使っていきます.
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